人生経験が豊かな「大人」であれば、「非行や問題行動」と言われる行為に対して、自己規制や抑制することができますが、子どもにはそのような力に弱さがあります。
特に、何かに不平不満を抱き、イライラ感を募らせているような時、善悪の判断がつきにくく、感情の赴くままに衝動的かつ短絡的に行動するから、世間から「非行や問題行動」として受け止められます。
また、子どもに限らず私たち人間は、意図的に「非行や問題行動」をする場合があります。 解りやすい例で、自分がどのように見られているか、不安や孤立感を深めているような時、親や家族、周囲の人の自分への「評価」を確認する目的で、あえて「非行や問題行動」を起こします。
このように、「非行や問題行動」の背景には、自己中心的な要因によるものや、自己存在の確認のように、戸惑いや不安による「自己治療」的な要因があるから、現象面だけで判断せず、慎重に原因を見極めて対応しなければなりません。
いずれにしろ、「何故、この子はこうした行動をするのだろう」と「非行や問題行動」の「目的、動機」である本人の「思いや感情」を理解し、まず、受け入れることが大事です。
ところで、「非行や問題行動」に伴う、暴言や暴力行為について、そのほとんどは、憎しみの感情を発散させるための手段ではなく、「言語外表現 」と言われ、「わかってほしい」とか「こうしたい」などの強い欲求(気持ち)が言葉による伝達ではなく、暴言や暴力という形で現われたものと解釈されています。
ですから、改善にあたっては言葉による説得や叱責はあまり効果がなく、「非行や問題行動」の「目的、動機」を共有しながら、対応していかなければなりません。
ちなみに、「非行や問題行動」を起こす人や「怠け者」と言われる人を世間では「落ちこぼれ」と呼びますが、最初から「彼ら」はそのような行為をしていたわけではありません。
確かに、そうした行為に至った原因は、いわゆる本人の「人間力の不足」ですが、その不足を見過ごしたり、解っていながら改善するための適切な支援をしなかった親をはじめ、関わる大人の責任は、決して小さなものではありません。
もしかしたら、全国の「落ちこぼれ」と言われる人の多くは、過去に親や周りの大人から「落ちこぼされてきた」のかもしれません。
さらに、世間で言う「困った子」というのは、何らかの事情を抱え、「困っている子」であることも忘れてはいけません。
この意味、お解りでしょうか。