12.「問題解決力」を高める。
「逆境を乗り切る思考」を持つ。
❖⑥「問題解決力」を高める。「逆境を乗り切る思考」を持つ。
人生に「安全牌(あんぜんぱい)」や、何もかもすべてが完備(かんび)され、何不自由(なにふじゆう)なく過(す)ごせる「ゲスト席」もありません。 人生に「悩み」はつきもので、日々、私たちはさまざまな問題を抱え、その度(たび)に葛藤を繰り返しながら生きています。
そこで、この項では、「悩みが尽(つ)きない人生」を、私たちはどのように生きていけばよいのかを考えます。
「問題解決力」とは、さまざまな悩みや問題を解決しようとする時、問題の本質に正面 から向き合い、決して逃げたり、避けたり、かわさない、そうした態度で臨(のぞ)むことが できる「力」です。
さらに、「問題を解決するのは自分である」という①当事者意識(とうじしゃいしき)と、「問 題の本質は何か」「問題の原因はどこにあるのか」を明らかにする②「問題意識」、さらに 「絶対、解決する」という③「解決意欲」を持つことも「問題解決力」になります。
問題の本質と正面から向き合うことを避けると、解決の糸口が見えず、かえって不安や 戸惑いが増して混乱が生じます。
ですから、どんなにつらくても問題を事実のものとして受け入れ、決して逃げたり、避 けたり、かわすことなく、正面から向き合うことが大事であり、こうした行為は、「建設 的な悲観(ひかん)作業」と言って、つらくても前向きな気持ちで問題を解決しようとする態 度のことを言います。
ところで、問題の本質と向き合わない人は、セルフサービングバイアスやセルフハンデ ィキャッピングという「依存などの悪い思考習慣=アデックション」を持っています。
セルフサービングバイアスとは、とってつけたような「言い訳」をしたり、「論理をすり 替えて」問題の本質を曖昧(あいまい)にすることで、それまで抱えている「苦しさや葛藤」 から逃れようとすることです。
また、セルフハンディキャッピングとは、失敗したりうまくいかなかった時の「言い訳 や理由」を先に用意して、その時つらい思いをしなくて済むように、つまり、自ら傷つく ことを事前に予防することです。
このように、苦しい状況から逃れたいとか、つらい思いをしたくないと現実からの「解離(乖離)かいり」や逃避(とうひ)を求める心情は、誰にでもあります。
言い換えれば、自分で自分を楽にしようとする、その場しのぎの「自己治療」であり、 その時の「言い訳や論理のすり替え」は、自己治療に必要な薬の役目であったり、「心の免疫(めんえき)」のようなものです。
ところで、言い訳をしたり、論理のすり替える背景には、「依存の心理」があります。 「依存」には、アルコールやたばこなど「物に依存する」ことや、パチンコや競輪、競馬 など「行為に依存する」ことは、よく知られていますが、「思い」に依存することはあまり 知られていません。
ここで、当時 22 歳だった男性が、27 歳まで 5 年の間、家族をはじめ、誰とも会わな いで「ひきこもりの生活」を送った時の話を紹介します。
彼にとって「自らのひきこもり」を認めることは、プライドも傷つくし、恥ずかしいこ とであり、何よりつらいことです。
まして、その期間が 5 年という長期間に及(およ)べば、尚更(なおさら)そうした思いが強 くなります。
そこで彼は、自らの「ひきこもり」を「お寺の坊さんが修行しているのと同じである」 と論理をすり替え、それを言い訳にしています。
つまり、「自分はひきこもりではない」「お寺の坊さんが、寺にこもって修行しているよ うに、自分も『修行しているんだ』」という「思い」に依存しているということです。
自分の世界でしか通用しない「とってつけたような言い訳」や「論理をすり替える」と いう「心のはたらき」は「心理的防衛機制(しんりてきぼうえいきせい)」のひとつと言われ、 誰もが持っているものですが、しかし、どのような理由であれ、問題の本質と向き合わな ければ、根本的に解決することは不可能であり、いつまでも言い訳や論理をすり替えた「思 い」との「くされ縁の関係」を続けることになります。
経験的に申し上げれば、長期化や深刻化した「心の病の患者」をはじめ、不登校やひきこもり、ニートや就労困難など「生きにくさ」を抱え、日常生活の停滞を余儀(よぎ)なくさ れている人は、申し合わせたようにこのことを学習している「現実」があり、それが問題 解決を一層、困難にしています。
さらに、「言い訳や論理のすり替え」を考える時、「原因論」と「目的論」の関係を知る 必要があります。
私たちは、失敗したり、うまくいかなかった時や、困難が生じ、途中でやめなければな らないような場合、「Aという原因があったから、Bできなかった」とか、「困難を招いた A さえなければ、Bできたのに」と言い訳しますが、そうした解釈には大きな誤(あやま)り があります。
何故なら、「Aという原因」を「言い訳や論理をすり替える」理由にしています。 つまり、「Aという原因」があるから、「B」できないとか、「Aという原因」がなければ 「B」できると思うのは、「見かけの因果律」(アドラー心理学による)と言われ、ほんとうは、 「B」をやりたくないという心の「目的(本心)」が先(心の根っ子)にあるため、その理由と して「Aという原因」を持ち出しています。
ほんとうに「何々したい」とか、本気で「やりたい」という心の「目的(本心)」があれ ば、あるいはその心の「目的(本心)」が強ければ強いほど、仮にどのような困難や理由が あろうと「目的を達成するパワー」がなくなることはありません。
たとえ時間がかかっても、かならず、成し遂げていくでしょう。
日頃の私たちの何気(なにげ)ない会話や行動を、このような視点(してん)で意識的に考え てみると、「そうか、なるほど、そのとおり」「言われてみれば、ごもっとも」と納得する 場面が多々あるはずです。
「Aという原因」があるから、「B」できない、という物言(ものい)いは、言い訳をしたり、 論理のすり替えることで、「B」やりたくないという「心の目的(本心)」を隠そうとするた めに、「もってこい」の理由を持ちだす「心の賢(かしこ)さ」なのか、「待ってました」的な 「心のずるさ」なのか、大いに迷うところですが、言い訳をしたり、論理をすり替えるこ とは、問題の本質を見えにくくするばかりか、当事者意識をあいまいにするため、問題を 解決しようとする意欲が生まれないことだけは、確かです。
それよりは、過去に困難な出来事を解決したとか、逆境を乗り越えたという成功体験を 思い出し、「やればできるんだ」とか、「あの時はつらかったが、諦(あきら)めないで良かっ た」、また「よく困難を乗り越えたものだ」と振り返ることや、「あの時の苦労は、何だっ たんだろう」と、いろいろな角度から考え、仮に小さな出来事でも「自分にとってどのよ うな意味や価値があったのか」を知ることで、「問題解決力」を高めることができます。
例えば、過去に厳しい肉体労働の日々が続き、心身共に疲れ切った体験をしたような場 合、「あの時はつらかった」と、ただ悔(く)やむのではなく、「あの時はお金を貰(もら)って、 身体(からだ)づくりをしていたのだ」と「逆転の発想」でフレームを変えてみれば、つらさ や苦しさも一味違ったものになり、気分的に楽になると共に、そのことを後(のち)の教訓に すれば、更に「問題解決力」を高めることができます。
何ごとにも「目的」があれば、その目的を達成するための「手段や方法」があるように、
その「手段や方法」の選択に誤りがあれば、目的が達成されないばかりか、さまざまな リスクが生じます。
同様に、私たちの悩みに関しても「悩み方」に誤りがあれば、悩みが解決するどころか、 悩みが悩みを呼ぶ「負のスパイラル」に陥(おちい)る恐れがあります。
本書の「心が折れない悩み方」は、その誤りをなくし、速やかに悩みを克服し、健やかな人生を送るための「悩み方」を教えてくれます。
❖⑥「問題解決力」を高める。「逆境を乗り切る思考」を持つ。
人生に「安全牌(あんぜんぱい)」や、何もかもすべてが完備(かんび)され、何不自由(なにふじゆう)なく過(す)ごせる「ゲスト席」もありません。 人生に「悩み」はつきもので、日々、私たちはさまざまな問題を抱え、その度(たび)に葛藤を繰り返しながら生きています。
そこで、この項では、「悩みが尽(つ)きない人生」を、私たちはどのように生きていけばよいのかを考えます。
「問題解決力」とは、さまざまな悩みや問題を解決しようとする時、問題の本質に正面 から向き合い、決して逃げたり、避けたり、かわさない、そうした態度で臨(のぞ)むことが できる「力」です。
さらに、「問題を解決するのは自分である」という①当事者意識(とうじしゃいしき)と、「問 題の本質は何か」「問題の原因はどこにあるのか」を明らかにする②「問題意識」、さらに 「絶対、解決する」という③「解決意欲」を持つことも「問題解決力」になります。
問題の本質と正面から向き合うことを避けると、解決の糸口が見えず、かえって不安や 戸惑いが増して混乱が生じます。
ですから、どんなにつらくても問題を事実のものとして受け入れ、決して逃げたり、避 けたり、かわすことなく、正面から向き合うことが大事であり、こうした行為は、「建設 的な悲観(ひかん)作業」と言って、つらくても前向きな気持ちで問題を解決しようとする態 度のことを言います。
ところで、問題の本質と向き合わない人は、セルフサービングバイアスやセルフハンデ ィキャッピングという「依存などの悪い思考習慣=アデックション」を持っています。
セルフサービングバイアスとは、とってつけたような「言い訳」をしたり、「論理をすり 替えて」問題の本質を曖昧(あいまい)にすることで、それまで抱えている「苦しさや葛藤」 から逃れようとすることです。
また、セルフハンディキャッピングとは、失敗したりうまくいかなかった時の「言い訳 や理由」を先に用意して、その時つらい思いをしなくて済むように、つまり、自ら傷つく ことを事前に予防することです。
このように、苦しい状況から逃れたいとか、つらい思いをしたくないと現実からの「解 離(乖離)かいり」や逃避(とうひ)を求める心情は、誰にでもあります。
言い換えれば、自分で自分を楽にしようとする、その場しのぎの「自己治療」であり、 その時の「言い訳や論理のすり替え」は、自己治療に必要な薬の役目であったり、「心の免疫(めんえき)」のようなものです。
ところで、言い訳をしたり、論理のすり替える背景には、「依存の心理」があります。 「依存」には、アルコールやたばこなど「物に依存する」ことや、パチンコや競輪、競馬 など「行為に依存する」ことは、よく知られていますが、「思い」に依存することはあまり 知られていません。
ここで、当時 22 歳だった男性が、27 歳まで 5 年の間、家族をはじめ、誰とも会わな いで「ひきこもりの生活」を送った時の話を紹介します。
彼にとって「自らのひきこもり」を認めることは、プライドも傷つくし、恥ずかしいこ とであり、何よりつらいことです。
まして、その期間が 5 年という長期間に及(およ)べば、尚更(なおさら)そうした思いが強 くなります。
そこで彼は、自らの「ひきこもり」を「お寺の坊さんが修行しているのと同じである」 と論理をすり替え、それを言い訳にしています。
つまり、「自分はひきこもりではない」「お寺の坊さんが、寺にこもって修行しているよ うに、自分も『修行しているんだ』」という「思い」に依存しているということです。
自分の世界でしか通用しない「とってつけたような言い訳」や「論理をすり替える」と いう「心のはたらき」は「心理的防衛機制(しんりてきぼうえいきせい)」のひとつと言われ、 誰もが持っているものですが、しかし、どのような理由であれ、問題の本質と向き合わな ければ、根本的に解決することは不可能であり、いつまでも言い訳や論理をすり替えた「思 い」との「くされ縁の関係」を続けることになります。
経験的に申し上げれば、長期化や深刻化した「心の病の患者」をはじめ、不登校やひき こもり、ニートや就労困難など「生きにくさ」を抱え、日常生活の停滞を余儀(よぎ)なくさ れている人は、申し合わせたようにこのことを学習している「現実」があり、それが問題 解決を一層、困難にしています。
さらに、「言い訳や論理のすり替え」を考える時、「原因論」と「目的論」の関係を知る 必要があります。
私たちは、失敗したり、うまくいかなかった時や、困難が生じ、途中でやめなければな らないような場合、「Aという原因があったから、Bできなかった」とか、「困難を招いた A さえなければ、Bできたのに」と言い訳しますが、そうした解釈には大きな誤(あやま)り があります。
何故なら、「Aという原因」を「言い訳や論理をすり替える」理由にしています。 つまり、「Aという原因」があるから、「B」できないとか、「Aという原因」がなければ 「B」できると思うのは、「見かけの因果律」(アドラー心理学による)と言われ、ほんとうは、 「B」をやりたくないという心の「目的(本心)」が先(心の根っ子)にあるため、その理由と して「Aという原因」を持ち出しています。
ほんとうに「何々したい」とか、本気で「やりたい」という心の「目的(本心)」があれ ば、あるいはその心の「目的(本心)」が強ければ強いほど、仮にどのような困難や理由が あろうと「目的を達成するパワー」がなくなることはありません。
たとえ時間がかかっても、かならず、成し遂げていくでしょう。
日頃の私たちの何気(なにげ)ない会話や行動を、このような視点(してん)で意識的に考え てみると、「そうか、なるほど、そのとおり」「言われてみれば、ごもっとも」と納得する 場面が多々あるはずです。
「Aという原因」があるから、「B」できない、という物言(ものい)いは、言い訳をしたり、 論理のすり替えることで、「B」やりたくないという「心の目的(本心)」を隠そうとするた めに、「もってこい」の理由を持ちだす「心の賢(かしこ)さ」なのか、「待ってました」的な 「心のずるさ」なのか、大いに迷うところですが、言い訳をしたり、論理をすり替えるこ とは、問題の本質を見えにくくするばかりか、当事者意識をあいまいにするため、問題を 解決しようとする意欲が生まれないことだけは、確かです。
それよりは、過去に困難な出来事を解決したとか、逆境を乗り越えたという成功体験を 思い出し、「やればできるんだ」とか、「あの時はつらかったが、諦(あきら)めないで良かっ た」、また「よく困難を乗り越えたものだ」と振り返ることや、「あの時の苦労は、何だっ たんだろう」と、いろいろな角度から考え、仮に小さな出来事でも「自分にとってどのよ うな意味や価値があったのか」を知ることで、「問題解決力」を高めることができます。
例えば、過去に厳しい肉体労働の日々が続き、心身共に疲れ切った体験をしたような場 合、「あの時はつらかった」と、ただ悔(く)やむのではなく、「あの時はお金を貰(もら)って、 身体(からだ)づくりをしていたのだ」と「逆転の発想」でフレームを変えてみれば、つらさ や苦しさも一味違ったものになり、気分的に楽になると共に、そのことを後(のち)の教訓に すれば、更に「問題解決力」を高めることができます。
何ごとにも「目的」があれば、その目的を達成するための「手段や方法」があるように、
その「手段や方法」の選択に誤りがあれば、目的が達成されないばかりか、さまざまな リスクが生じます。
同様に、私たちの悩みに関しても「悩み方」に誤りがあれば、悩みが解決するどころか、 悩みが悩みを呼ぶ「負のスパイラル」に陥(おちい)る恐れがあります。
本書の「心が折れない悩み方」は、その誤りをなくし、速やかに悩みを克服し、健やかな人生を送るための「悩み方」を教えてくれます。
代表・矢吹孝志(やぶきたかし) 福島県生まれ
*MHPC代表、健康・教育カウンセラー
*レジリエンスセラピスト
*公立学校共済組合福島県支部「こころのケア事業」
・委託カウンセラー
*ティーペック(株)東京/大阪 ・委託カウンセラー
*システムブレーン/ライセンスアカデミー(講師派遣会社)
・登録講師
*NPO法人・日本フリースクール協会理事
MHPCマインドヘルスパーソナリティセンター
〒963-8813 福島県郡山市芳賀2丁目21-10
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